占領軍進駐後の二ヶ月の報告書

わが国の戦争を誘導し指導した人々の間に祖国を戦争に或は敗亡に導いたことについて、同胞をこの非況に陥れたことについて、これを同胞の前に詫びるというような気配はほとんど見受けられなかった。

国民に対して責任を負わねばならぬ者が誰もいない政体とは何であろうか。

占領軍進駐後の二ヶ月の報告書に「民主主義にいたっては、日本人民には未だかつてどのような形式にしろ、その経験がない」と記載れておる国民の臣民的な政治意識以外の何もののせいでもあるまい。

しかし、終戦にいたるまで、言論の弾圧や思想の統制の狂暴な嵐があまりにもながくつづいたために、わが国人の民主主義的傾向は文字どおり仮死の状態にまで立ちいていたことを思えば、しかたがないことであるが、いま現在も臣民的な意識がおおく見られ、一向に近代らしくない意識形態が色濃く残っている