>明治の藩閥政治家たちに民主化への意思が希薄だったことが大きいでしょう。

わが国の場合、明治維新は国民のクーデターよって行われたのではなく、権力闘争の一環として成立した意味の方が多分にあります。だから近代化に伴う自由民権の運動が大衆の政治的意識の革新をうながし始めるや、資本主義化、工業化のために、かえって封建的な土地制度を強化し、意識の面においても封建制の残骸を利用しなければならんかったのでしょう。つまり国民大衆の民主的な自覚が芽生えると、国内的には人権尊重のごときは悪害と見て、その国内的矛盾を常に国外に向けさせねばならんかった。明治維新以来の日本の領土膨張政策はこのような要因があったからからだ。