朝鮮の固有の文学

中国の征服の結果、朝鮮の現在の状態がもたらされたのであるが、では、それ以前に、朝鮮民族の文学を持っていたであろうか。もしあったとすれば、その固有の文学はいかなるものであったろうか。この間題を解くことは、きわめて困難である。

「子供や婦女子のための、いくつかの小説、詩集、歴史書等が、出版物のすべてである。子供たちは、漢字を学ぶ初歩的な本に載っている翻訳によって、いうなれば知らず知らずのうちに、朝鮮文字を習得する。しかし彼らは、習慣によってのみ音節を身につけるだけで、綴りを述べるとか、音節を一句一句分けるとかは、できないようだ。漢字を学ぶ手段も機会もない婦女子や貧しい人びとは、朝鮮文字を学ばないわけにはいかない。彼らは、それを使って、通信文や会計簿をつけるのである。宣教師によって印刷された宗教の本は、すべて朝鮮文字になっているという。したがって、すべてのキリスト教徒は、子供にもすぐ憶えられるアルファベット式の朝鮮文字を読み書きすることができる」(ダレより)