朝鮮における立法権は勅令・緊急勅令を発する天皇にあることはいうまでもないが、立法事項に関して「併合処理方案」中の「立法事項二関スル緊急勅令案」が「朝鮮ニ施行スベキ法令二関スル件」として、「併合条約」と同時に発表されます。これによると朝鮮における法令は、朝鮮人民の意思如何を問わないのはもちろん日本議会の協賛を経ることなく、勅裁による朝鮮総督の命令をもって代えると規定され、総督府官制の規定とともに総督は朝鮮における立法・司法・行政の三権を一手に把握し、朝鮮人にたいする生殺与奪の権限を行使していました。

朝鮮総督は最高の親任官として天皇に直隷しておるから、本国の内閣総理大臣、各部大臣および大審院院長らと同格である。そして軍人として日本軍部の独特な統帥権独立の原則にしたがって政治的地位において独立していた。総督の政務は「内閣総理大臣を経て上奏し裁可をうける」となっていて、形式上は内閣総理大臣の制約をうけるようになっているが、事実上の指揮監督は統帥権独立もって制約がなかった。つまり総督は日本国政府の統制を受けず、もっぱら天皇にだけ責任をおう地位にあって立法・司法・行政および軍事などにたいするすべての権限を持っていました。