日本の権力構造

官僚政治家吉田がその権力構造を堅固に構築しようと企てるとき、もっとも頼りとするのは当然気心の知れた官僚であった。占領当局も戦前の日本優秀な統治技術を身につけた官僚集団を利用すべき絶好の対象として映っていたからだ。吉田は高級官僚の政界導入を企て、政界入りした高級官僚出身者は旧指導者の追放解除組がおおく、49年の総選挙の官僚での顔ぶれは、池田勇人佐藤栄作、岡崎勝雄、増田甲子七大橋武夫前尾繁三郎、西村直己、遠藤三郎、坂田英一、福田篤泰など、ずらりと並んでいる。この官僚出身者が、その後の保守政治で演じた役割の大きさで知ることができ、政党と官僚の癒着という保守政治の原型が形成されたのだった。