日本組織の底流にあるもの

わが国の行政は中央集権主義をとっていたところに大きな特色のひとつがあった。それはすべての行政は国の専権に属するという考え方で、それにより国家全体の秩序を維持し、統一を図るために、本来国の専権に属するものとした。一切の行政の権力的支えとして、大権を中心とする官僚行政の形により行われ、民意を反映させるというような配慮はほとんどなかった。すなわち一般行政は、組織の面でも、天皇の官制大権の定めるところで、広範な行政立法が認められ、行政庁の裁量が広く認められていた。それを支える警察行政の一環として官僚の支配が徹底していたということは、まぎれもない事実のように思われます。そこには人間尊重とか個人の人権を重視するという考え方きめて弱く、個人は国家すなわち天皇の支配の対象としてとらえられていたわけです。官僚組織とはすべて国家に奉仕すべき権力であって、その源泉は天皇大権に基づくものであり、国民のため個人のための存在とは考えられていなかった。これが現在の日本の官僚の根底に流れているものです。