天皇について

>中国では天下を統一すると自分が皇帝になりましたが、日本では関白や将軍になっていたのは、日本は島国で、天皇天照大御神の子孫だと言っていたからですか。



日本国民は袋のネズミのようなもので、外から入ってくることもむずかしいが、いざという場合に国外へ亡命することも容易ではないです。今でも離党では犯罪が少なく、戸締りをしない習慣が残っているのはそのためです。日本の外敵といえば、アイヌ、クマソくらいのもので、これらはほとんど日本民族の中にとけこんでしまっています。外界とのつながりがないからです。そして、この四つの島に、世界でも珍しい単一種民族が生ます。いや、日本民族といっても、もとは、海外からの雑多な種族によって構成されているのですが、民族意識が単一で純粋なのです。民族意識というものは、血とは大して関係がないです。このように日本は、単一民族意識の発生しやすい地理的条件にあって、その民族意識の頂点に天皇がおかれたのです。天皇崇拝の強度と純粋度は、民族意識の強度と純粋度に正比例します。
 それが、?万世一系″という形で永続性を保持してきたのも、島国であるという地理的条件におうところが多い。?万世一系″それ自体は、実はナンセンスにひとい。この世に生きとし生けるもの、すべて万世一系ならざるを得ないです。ただ日本の皇室が、相当長い期間権力の座にあるか、あるいはそれとつながりをもっていたということは、「万国無比」といえないまでも、確かに珍しい実例にはちがいない。
 天皇の?天″は、明らかに中国的な発想というよりも、シャーマニズムからきたものであろうと思う。日本で神道となって、天皇を神格化する上に大きな役割を果したからです。そいう日本人の純粋になりやすい民族意識を、統治の原理として時の権力者たちは、政治的利用していたのです。
明治国家を建築した若者らが天皇を「玉」と呼び、「玉を抱く」「玉を奪ふ」などの隠語で盛んに用いられ、政治的術策を「芝居」と呼称したことなどは、彼らが伝統的規範意識から脱却していたことを表しているのでしょう。天皇の伝統的価値が若者らによって信仰せられたからではなく、天皇への信仰から解放された者だったから、「玉」を自由に操り、そこに国家建築が可能となったのです。戦後多くの国が天皇を戦犯として裁くべきだと主張したにもかかわらず、マッカーサーはその要望を退けたのは、天皇を政治的に利用するためです。現在日本を指導している首相もその傾向が強いです。