征韓

>意味不明だね。明治政府が 、成立時点から征韓を狙っていたというのは、御伽噺だと言うこと。・・・・
>まあ、明治政府が朝鮮の経済的価値をどの程度踏んでいたか。その根拠となる史料を提示して説明することだね。10年くらい勉強すれば如何。

征韓の目的は「朝鮮の経済的価値」の為じゃなく、単純な領土的野心に基づくものです。

明治元年、に徳川幕府を倒して成立した維新政権は、はじめから征韓の意識がありました。維新政権が反対派大名の武力抵抗を大体において鎮圧してまもない同年末に、早くも政府首脳部は、朝鮮侵略の計画をたてている。参与木戸孝允は、この年12月14日、議定岩倉具視の「前途ノ事件」に関する諮問に答えて数件をのべた。その日の彼の日記には次の如くある。

 「モツトモ其大ナル事件二アリ、速二天下ノ方向ヲ一定シ、使節ヲ朝鮮ニ遣シ彼ノ無礼ヲ問イ、彼モシ服セザル時ハ罪ヲ鳴ラシテ攻撃、大ニ神州ノ威ヲ伸張センコトヲ願ウ。然ル時ハ天下ノ随習忽チ一変シテ、遠ク海外へ目的ヲ定メ、随テ百芸器械等真二実事二相進ミ、各内部ヲ窺ヒ人ノ短ヲ誹り人ノ非ヲ責メ、各自顧省セザルノ悪弊一洗二至ル。必ズ国地ノ大益言フベカラザルモノアラン」

......明朝岩公御(岩倉具視)出立に付前途之事件御下問あり依
て数件を言上す尤其大なる事件二あり一は速に天下の方向を
一定し使節を朝鮮に遣し彼の無礼を問ひ彼若不服時は鳴罪攻
撃其土大に神州の威を伸張せんことを願ふ然る時は天下の陋
習忽一変して遠く海外へ目的を定め随て百芸器械等真に実事
に相進み各内部を窺ひ人の短を誹り人の非を責各自不顧省之
悪弊一洗に至る必国地大益不可言ものあらん......
木戸孝允日記』第一、159-160ページ

木戸、岩倉および政府の軍事方面の最高の実権者である大村益次郎らの間で征韓が真剣に計画されたことは、明治2年の正月から2月の日記や手紙に具体的な計画を見ることができます。

木戸は「正月元旦あらあら御相談仕置候後も、なほつらつら将来の大勢を相考へ候に」軍務官において大方略をたて、箱根の榎本武揚旧幕府軍を平定した後には、朝廷独自の陸軍軍備をととえ、諸大名に頼らずもっぱら朝廷のみのへ兵力をもって、釜山を「開かせられたい」という。ここでの「開く」とは開発ということだろうが、その前提として領有しておかねばならない。木戸も武力での征服の順序を次のように説いている。

「……主として兵力を以て韓地釜山を閑かせられたく、是れ元より物産金銀の利益はこれあるまじく、即て御損失とは存じ奉り候へども、皇国の大方向を相立て億万生の眼を内外に一変仕り、海陸の諸技芸等をして着実に走らしめ、他日皇国をして興起せしめ万世に経持仕候処、此外に別策はこれあるまじく、未だ蝦夷地(北海道)を開く能はずして他へ手を出候(はよくない)などの説もこれあり候へども、是則ち一を知て十を知らざるの説にて……韓地の事は皇国の御国体相立て候処を以て、輝今日の宇内の条理を推候わけにて、東海に光輝を生じ候はここに始まり候事と愚考仕候。もし一千書相交へ候ときは、必ず急迫に致さず、凡そ年々の入費を定め、一地歩を占め候上、とくと後乗の繁を立て、其力の続くべきものを以て倦怠なく尽力仕候ときは、必ず両三年を出でずして天地大一変、実行柏挙り、万世不抜の皇基弥相すはり申すべし。」(『木戸孝允文書』第三)

明治六年の政変で参議である大久保利通木戸孝允大隈重信大木喬任らは辞表を提出し、天皇の工作が行われ、前の閣議は覆されたのである。そして西郷及び征韓論に賛成する多くの軍人や官僚が辞職し、反対派の大久保利通が政権を握った。 そして、明治7年年に入り、征韓論に呼び起こされた明治六年政変が終ると、木戸孝允が3月9日の『東京日日新聞』に文章を寄せた。
...(前略)...台湾ノ如キニ至ツテハ即チ固ヨリ東洋ノ一粟蛮夷人、残ヲ好ム其性然リ、今我ガ琉球人ヲ損殺スルヲ以テ遽カニ伐ツテ之ヲ殲スモ亦豈以テ国威ヲ表スルニ足ランヤ、且夫レ琉球我ニ内附スト雖モ、其意半ハ清国ニアリ、嘗テ聞ク其国ノ人、我ニ対スルノ言ニ、日本ニ父トシ事ヘ、清国ハ母トシ事フト云ヘリ、意フニ其清国ニ対スルニ及ンデハ亦将ニ必ズ言ハントス、清国ニ父トシ事ヘ、日本ニ母トシ事フト、其両端ヲ持スルモノ固ヨリ弱国ノ常情ナリト雖モ、我ノ其人ヲ見ル内地ノ民ト自ラ緩急ノ別ナキ能ハズ、内国ハ本ナリ、外属ハ末ナリ、本ヲ後ニシテ末ヲ先ニスルハ、決シテ策ノ得タルモノニ非ルナリ、仰ギ願クハ内外本末ノ差ヲ明ニシ先後緩急ノ別ヲ誤ラズ、道トシテ我民ヲ撫デ、我力ヲ養ヒ、義務ヲ怠ラズ、才略ヲ失ハズ、名正ウシテ言順ヒ、然ル後チ徐々ニ国ヲ図ラバ事数年ノ後在リト雖モ、誰カ之ヲ遅シトセンヤ、謹デ識ス。


つまりは台湾のことも朝鮮のことも、今はまずおいておき、国内の建設を先にし、民力を養い、数年後日本に力をつけてから朝鮮なり台湾なりを討てばいいという旨の文章である。