聖断

鈴木貫太郎が、ポツダム宣言を黙殺しなければ、広島、長崎への原爆投下は無かったという人もいますが、いかがでしょうか。

「ポ宣言はカイロ宣言の焼き直しだと思う。…..ただ黙殺するだけである。われわれは断固として戦争完遂に邁進するのみである」と声明します。連合軍はこれを、ポ宣言受諾拒否と解した。そして日本本土への攻撃を倍加させた。国民の惨禍は一日ごとに、いな一時間ごとに深刻の度を加えた。しかし政府は、戦え、戦え、天皇のために死ね、と国民を叱咤するのみであった。
 そのうえ8月6日、広島に原爆が投下された。天皇も、こうなると降伏を考えざるをえなかった。8日、東郷外相が天皇原子爆弾に関する敵側の発表とこれに関連する事項を詳細に報告した。それを聞いて天皇は、外相につぎのように命令した。

「この種の武器が使用せらるる以上、戦争継続は愈々不可能になれるにより、有利なる条件を得んが為に戦争終結の時期を逸するは不可なり。条件を相談するも纏らざるに非るか、成るべく速かに戦争の終結を見るよう努力せよ(外務省編終戦史録P537)」
と命令します。
「原爆」が使用されなければ、天皇は、有利なる条件を得んが為に、いたずらに戦争を継続をしていたと思う。

そして9日未明ソ連が参戦、この日の10時半から最高戦争指導会議構成員会議を開いて、側近のグループが用意した聖断と言われたドラマを天皇が主人公として演じた。これは、アメリカに対して平和愛好者のイメージを印象づけられる一方、国民からも「天皇のおかげ」という受け止められ方をされるだろう、と読んだ彼らの思惑だったのだ。