民族政治の基本問題

日本の民族指導及び統治の理念はこの英米蘭の人種的優越に基く搾取的植民政策と異り、八紘為字の大精神に基き原住民をして各能に応じ分に従ひその処を得しめ、進んで自然に中核たる日本の聖業を輔巽するやうに導き、かれらをして大東亜興隆の栄誉を相供に享受せしめんとするにある。従って英米蘭の如き民族的優越感や外形的権威によりその統治民族の優秀卓越を会得せしめんとする統治方式と異り、日本人は日本的道義感により英米蘭の愚民政策に対し積極的転換を行ひ、原住民をしてアジア的意識を覚醒し、東洋の道義的信頼を獲得し、日本に対する尊敬を捧げしめることが肝要である。かくして、日本民族の優秀性をかれらをして体得せしめることによって、信頼と尊敬をかち待べきである。日本国家の武力の優秀卓越は大東亜戦争そのものにより、原住民に対して明確ならしめた。そうして、又、今後もこの戦勝によって、日本に対する信頼と尊敬との意識を明確ならしめねばならぬ。
日本国家の優秀性を証明すべき窮極の道は、専ら戦勝にある。従って、日本国家の優秀性を会得せしむべき大道は、区々たる宣撫や片々たる啓蒙の方策ではなく、帝国の戦力増強と作戦の遂行とに原住民を全面的に動員協力せしめ日本が勝つにある。従って現段階において日本の優秀性を会得せしむべき統治の方式は、全般的な各種施策の平均的推進ではない。統治地域の人と物とを挙げて重点的に戦力増強に活用し、日本が戦争に完勝することこれ自体にある。そうして又、原住民が凡ゆる困難に耐へ犠牲を忍んで大東亜戦争を勝ち抜き、大東亜共栄圏を建設し、日本の完勝によって自主的な民族向上を達成せしめることそれが現段階の民族指導の原理である。(民族政治の基本問題)