イザベラ・バードと朝鮮人

朝鮮に鉱物が豊富であるかどうかはよく論じられる問題である。おそらくこの国をエルドラドととらえる見方と、そもそも地中には宝など眠っていないのだと疑ってかかる見方との中庸をとるべきではなかろうか。金は個人の装飾や美術工芸にはほとんど用いられないが、それでも朝鮮人はわが国の土ぼこりは金であると言ってはばからない。また疑問の余地なく権威のある税関報告書は、1896年度には136万279ドルにのぼる砂金が輸出され、申告されずに国外に流出した量はおそらくそれを上回るのではないかと述べている。銀と方鉛鉱は産出され、銅は相当多く、鉄および石炭の埋蔵量は大きい。また石炭は非常に良質である。金を含有する石英はまだ採掘れていないものの、合衆国の企業が営業許可を取得し、機械を導入して平壌地方で開発に取りかかっている。

イザベラ・バードは上記のように述べている。

さらに朝鮮人について次のような印象を述べています。

目は暗色であるが、濃い茶色から薄茶色までさまざまである。頬骨は高く、ひたいは帽子その他で屠れていないの目にしたかぎ。では、広くて知的なひたいがとても多い。耳は小ぶりで形がよい一般に表情はにこやかで、当惑が若干混じる。顔だちから察せられるのは、最良の場合、力あるいは意思力よりも明敏さである。朝鮮人はたしかに顔だちの美しい人種である。
体格はよい。男性の平均身長は五フィート四インチ半であるが、女性の平均身長は確認できず、また男性とは不釣り合いに低いうえ、めったに見ることのできないその姿は世にも醜い服装で欠点が誇張され、ずんぐりして横幅が広い。男女とも、またどの階層も、手足はとても小さく色白で美しい形をしており、アーモンド形をした先細のつめがちんまりとついている。男性はとても力持ちである。ポーターたちは重い荷物を運び、100ポンドの荷物がころあいと見なされる。貴族のわざとらしく体を揺らす歩き方にせよ、所用中の庶民の小きざみでしっかりした足取りにせよ、朝鮮人男性はよく歩く。家族は大家族で健全である。政府推定の世帯数が正しいとすれば、平均すると人口は一二〇〇万から一三〇〇万で、女性はその半分より少ない。
 知能面では、朝鮮人スコットランドで「呑みこみが早い」といわれる天分に文字どおり恵まれている。その理解の早さと明敏さは外国人教師の進んで認めるところで、外国語をたちまち習得してしまい、清国人や日本人より流暢に、またずっと優秀なアクセントで話す。彼らには東洋の悪癖である猜疑心、校滑さ、不誠実さがあり、男どうしの信頼はない。女は蟄居しており、きわめて劣った地位にある。