天皇制度の機構

明治時代には岩倉具視伊藤博文山県有朋のような実力者がいたので、天皇はロボットたらざるをえなかった。つまり、これらの実力者は、あるときは統治者として、あるときは統帥権者として明治憲法を巧みに使い分けていたのである。ところが、昭和天皇の時代になると、岩倉、伊藤、山県らの元老は死んでしまった。したがって、第二次大戦期になると「元老にかわる統合力と指導力をもつものは、天皇制度の機構上の分立性のゆえに天皇以外には存在しなくなっていた。