明治6年、久光にあてたウイリスの意見書

いかなる時代においても、またいかなる場所においても、政治権力によって不当に強制された階級差別は、悪い結果しか生み出さないことがあきらかになっている。なかんずく、そういう制度の下では民衆は卑屈になり、自国の政治が誰の手によって運用されているかについて、何の関心もしめさなくなるものです。

政府は自らの賢明さを、行動によってだけでなく、何も行動しないことによって、つまり、非干渉によっても証明できるものです。政治の衝にあたる者は、政治の権力が必要に、あるいは民衆に迷惑をかけるために利用されていないかどうか、たえず注意を怠らない義務がある。

過去の経験と、現在の必要と、将来の希望と、この三点を正しく考慮し、知的および道徳的に向上つづけることこそ、すべての人間にとっての、またすべての政府にとっての目標であることを念頭に置きつつ、あらゆる政治上の問題と取り組まれることを希望したい。

この目標をめざし、この国に実情と時代の精神に即しつつ、法律は制定されるべきであると思う。

我が政府は開明的な精神をもって、これにあたるべきです。外国交際に理不尽な制限を加えるようなことをすれば、諸外国はかならず一致してこれに反対するであろうし、そのあげく戦争にもなりかねない。他方、我が政府が外国交際にまつわる真の困難を率直なことばで表明すれば、必ずや諸外国の政府は真剣に耳を傾け、それを友好的な態度で検討することを信じている。