国体

「国体」とは、国振り・国柄を意味しているといわれ、ある国の基本的な特徴といった意味です。
なにをもって日本国の「基本的な特徴」と考えるかは、千差万別であるが、この語の用いられる脈絡では、大筋でふたつの概念が存在していたといえよう。

ひとつは、伝統的、歴史的、情緒的な感覚で構成された概念で、文化現象としての天皇崇拝を指す。

もうひとつ別の「国体」概念を、法律学的な意味合いで定立したのが、美濃部(民権派)の対極であった穂積八束(ほづみ・やつか)(神権派)である。

穂積はこれを「主権の所在」による国家の識別標識と考えた。大日本帝国憲法の場合は「万世一系天皇」が主権として統治権を総攬するという点、天皇に主権が存在するにこそ「国体」がある、と捕らえた。

以後、穂積の法律学的な「国体」は法に取り入れられ、「国体」は「主権の所在」を意味するものとして承認されたのである。